臓器提供には「脳死下臓器提供」と「心停止後臓器提供」の2種類があります。臓器の移植に関する法律により、それぞれ提供できる種類が定められています。
脳死下:心臓、肝臓、肺、小腸、腎臓、膵臓
眼球(角膜)
心停止後:腎臓、膵臓、眼球(角膜)
また、皮膚、心臓弁、血管、骨などのいわゆる組織については、臓器移植法で規定されてはいませんが
移植が可能であり、家族の承諾のみ(本人の拒否がなければ)で提供できます。
(現在、奈良県内では心臓弁、血管のみ提供可能です。)
脳死とは、脳全体の働きが無くなり、人工呼吸器などの助けがなければ心臓が停止してしまう状態です。脳死になると、どんな治療をしても回復することはなく、やがて心臓も停止します(心停止までに、長期間を要する例も報告されています)。
脳幹の機能が残っていて自分で呼吸できることが多く、回復の可能性がある植物状態とは全く別のものです。臓器の移植に関する法律に基づく脳死判定は、脳死後に臓器提供を行う場合に実施します。
脳幹を含めたすべての脳の機能が全て失われ、回復の可能性が無い「法的脳死判定」を行い脳死状態であると確認さると、脳死下臓器提供が可能となる。
脳幹の機能が残っていて自発呼吸が可能で回復の可能性がある
脳幹の機能が残っていて自発呼吸が可能で回復の可能性がある
意思を表示することには、年齢の上限はありません。高齢の方でも病気で薬を飲んでいる方でも、どなたでも記入していただけます。ただし、がんや全身性の感染症で亡くなられた場合には提供できない場合があり、実際の臓器提供時に医学的検査をして判断します。これまで、0歳~70歳代の方からの臓器提供が行われています。
臓器を提供する意思表示が法的に有効となるのは、15歳以上です。(実際の提供については本人が提供しない意思表示をしておらず、家族の承諾がある場合には15歳未満でも可能です。)
ただし、臓器を提供しない意思表示については年齢制限は無く、本人が拒否の意思表示をしていた場合は臓器提供は行われません。
臓器提供が発生すると、提供される臓器に最も適合した人(臓器)が移植希望登録者の中から、公平、公正に選定されます。
各臓器のレシピエント選択基準では、血液型、サイズ、抗体反応、虚血許容時間などの選択基準が定められています。その中から、医学的緊急度や血液型による具体的選択方法、術式、年齢、施設の所在地、待機時間などの優先順位が決められています。また、全臓器においてドナー(臓器提供者)が親族優先提供の意思表示をしていて、親族の中に移植希望登録をしている人がいる場合には、医学的な適合条件等を満たせば親族に優先的に提供することができます。
日本臓器移植ネットワークのコンピューターにドナー(臓器提供者)の医学的データを入力すると、臓器ごとに優先順位の高い候補者が選定されます。それぞれ、第一候補者から順に主治医に連絡し、移植可能な状況かどうか、移植を受ける意思があるかどうかの確認を行います。